いいえ。
腰痛のない人の中で、7割超の人に椎間板ヘルニアが、
8割超の人に椎間板変性が見つかった、という報告があります。
−ボルボ賞とは−
腰痛分野の研究についてのノーベル賞とも言われている、
国際腰痛学会(ISSLS)における賞のことです。
ボルボは、スウェーデンの自動車メーカーの Volvo のことです。
Boos N. ら による研究です。
学術誌 『 Spine 』 1995年 に報告されています。
その内容が評価され、ボルボ賞を受賞しています。
さて、研究の内容です。
腰痛を訴えて、椎間板ヘルニアと診断された患者46名と、
腰痛のない健康な人46名に対して、
腰部のMRIを撮影しました。
その画像に対して、2名の神経放射線医が、椎間板の状態を検証しました。
また、事前に心理社会的側面についてのアンケートを行いました。
どちらのグループも、年齢・性別・職業などは、同じ条件としました。
その結果は、驚くべきものでした。
結果 その1
腰痛のない健康な人の76%に、椎間板ヘルニアが発見されました。
また、腰痛のない健康な人の85%に、椎間板変性が発見されました。
発見された椎間板ヘルニアのタイプは、
腰痛のある人と、腰痛のない健康な人との間で、差がありませんでした。
あなたは、腰部のMRI画像をご覧になったことはありますか?
一度も見たことないよ〜という方は、この機会に、一度見てみましょう。
「 腰部 椎間板ヘルニア MRI 」 で Google 検索した画像
画像、いくつか出て来ましたか?
動物の写真も出てきますが、ぜひ、人間の写真を見て下さいね!
小さな骨と骨の間にあるのが、椎間板です。黒っぽく見えるところです。
その後ろには、神経が通っています。白っぽく見えるところです。
椎間板の黒っぽい中に、うっすら白いものがありますが、
それが黒の中にきちんと収まって見えるところは、正常な椎間板の状態です。
さて、椎間板ヘルニアとなっているところは、
黒っぽく見える椎間板が、とび出してきて、白っぽく見える神経を圧迫している。
そんな様子が、はっきり分かると思います。
どうでしょう。
神経をギュッと押しつけていて、もう、見るからに痛そう!! ですよね。
でも、実は、その感覚こそが、くせ者なんです。
思い出して下さい。
腰痛のない健康な人の76%に、椎間板ヘルニアが発見されているのです。
どちらかと言えば、椎間板ヘルニアでない人のほうが、まれなのです。
このような画像の人で、腰痛が全然ないという人は、たくさんいるのです。
それが、この研究が指摘した、重要なポイントです。
その重要性が、ボルボ賞に値するわけです。
腰痛では、こんなケースがよくありますよね。
・ 腰が痛くて病院に行ったら、MRI撮影をすることになった。
・ その結果は、先ほどのような、椎間板ヘルニアの画像であった。
・ 椎間板ヘルニアが神経を圧迫しているから腰痛になっている、と言われた。
・ 圧迫をとるために、手術をすすめられた。
つまり、こういうことです。
腰痛の原因を突き止めようとしている人にとって、
椎間板ヘルニアのMRI画像というのは、ある意味で、
『 説得力がありすぎる 』 画像なんです!
画像を見ると、見るからに痛そう! なわけです。
だから、腰痛の原因はヘルニアだ、を考えてしまうんです。
医師であってもそうですし、
医師から画像を見せられる側の患者であれば、なおさらです。
しかし、
無症状の椎間板異常というのは、普通によくあるのです。
腰痛のない健康な人の7割以上から、椎間板ヘルニアは見つかっているのです。
そういう人のMRIを撮れば、ヘルニアの画像になるのです。
結果 その2
腰痛に対する危険因子として、心理社会的な側面が見られました。
心理社会的な側面− 『心の部分・社会の部分』 というのは、どういうことでしょうか。
具体的には、こうです。
・仕事に対する姿勢 = 心理的ストレス、集中力、満足度、失業 など
・心理社会的因子 = 不安、抑うつ、欲求不満、夫婦関係の悪化 など
こういうことが、あなたの腰痛に、深く関わっているというのです。
椎間板ヘルニアなどではなく、心の部分・社会の部分が、
腰痛のリスクファクターになっている、というのです。
すぐには、信じられないことかもしれませんね。
それほど、この結果は、画期的なことだったのです。
この研究の大きな意義は、
『 腰痛の心理社会的側面 』 を具体的に指摘した点です。
これにより、腰痛の認識は、大きく変わりました。
だから、ボルボ賞が贈られているわけです。
実はこの部分は、現代において、腰痛解決のための新しい骨格とも言えるものです。
しかし、多くの腰痛治療の場では、そのことは知らせていません。
大変残念なことですが・・・
下のページで、詳しくお伝えします。
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